イサムノグチ 庭園美術館
今回の高松出張のもう一つの目的は、イサムノグチ 庭園美術館の見学です。イサムノグチは私の大好きなアーティストの一人で、美濃和紙を使った繊細な照明の「AKARI」シリーズからダイナミックな石彫作品、遺作となった札幌モエレ沼公園など、世界中に偉大な作品を残しています。それでは世界的な芸術家のイサムノグチの美術館がなぜこの地にあるのか、美術館のパンフレットから抜粋すると「20世紀を代表する彫刻家イサム・ノグチは、モニュメント、庭や公園などの環境設計、家具や照明のインテリアから、舞台美術までの幅広い活動を行った、きわめてユニークな芸術家です。1956年、初めて庵治石の産地である香川県の牟礼町を訪れたノグチは、1969年からは五剣山と屋島の間にあるこの地にアトリエと住居を構え、以降20年余りの間、NYを往き来しながら石の作家である和泉正敏をパートナーに制作に励みました。 イサム・ノグチ庭園美術館は、この地が未来の芸術家や研究者、そして広く芸術愛好家のためのインスピレーションの源泉になることを強く望んでいたノグチの遺志を実現したものです。150点あまりの彫刻作品はもとより、自ら選んで移築した展示蔵や住居イサム家、晩年制作した彫刻庭園など、全体がひとつの大きな「地球彫刻」、あるいは環境彫刻となっています。出来うる限り、生前の雰囲気そのままで環境そのものを公開し、専門的な調査・研究のためのアーカイブ(資料研究空間)となっております。ジャンルを超えた宇宙的でコスモポリタンな、開かれたノグチの世界像を心ゆくまで味わっていただきたいと思います。」 とあります。
園内を観覧すると、イサムノグチがなぜこの地をアトリエとして、また1年の三分の一を過ごす住居として選んだのかよく判ります。庵治石という良質な素材と優れた加工技術を持った職人が集積する産地、そして豊かな緑と穏やかな瀬戸内の海が見渡せる高台には、6月の爽やかな風が吹き抜けていきます。
美術家の見学には事前の予約が必要で、一日2回ないし3回で人数制限もあるようです。当日は通常1組のところ2組に分けての拝観で、遠く外国から来られたと思しき旅行者も多数おられました。
園内は非常に手入れが行き届いており、学芸員の方もよく勉強されていて説明も語りやすくとても親切でした。移設した古民家(倉庫)の中には有名な「真夜中の太陽」(1989年直径2m)と代表作「エナジーヴォイド」(1971年地長さ3.6mスウェーデン産黒御影石)空間に聳える巨大な彫刻に言葉を失います。写真で見るのとはやはり存在感が全く違います。